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【第10話】新しいものがいいとは限らない
かわや君に会えない。
台風で壊れてしまったのか。原因はわからない。鈴にとっては一大事だ。しかし、kAWAYA君モードを自分が使っていたことをバレたくない鈴は家族の誰にも言いだすことなんて勿論できない。
学校でも、家でも、何をしても 消えてしまった かわや君のことが頭から離れず、ふさぎこむ鈴。まるで本物の彼氏が消えてしまったかのような深い悲しみの中にいた。
(ここまで自分を苦しめるなんて。AIとか新しい技術ってお父さんがいうようにいいなって思ってたけど、なにもかもいいものじゃないな。)
兄だけでなく、大切な秘密の恋人まで失った。
かわや君が消えて、一週間が過ぎた。
鈴は毎晩、トイレにこもって、かわや君がなんとか復帰しないか、モニターを触り続けていた。
(私って病気だな。まさかトイレに人生を狂わされるなんて・・。)
心の中でそうつぶやいても、諦めきれない。
苦しくて画面を触る手が震えた。そして、はっとした。
昨日まで画面になかった
KAWAYA君モードの文字が、
戻ってきていたのだ!!!
鈴はすぐに話しかけた。
「かわや君!!!」
「「鈴。また二人になれたな。」」
その耳慣れたどこか安心する低い声が聞こえてきて、鈴は思わず涙ぐんでいた。
しかし
次の瞬間
・・・凍り付いた。
「「・・は、
はっくしょん!!!」」
(!?
え?!)
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