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【第2話】新しいトイレ
数日後、工事が入り、ついに鈴の家のトイレがリニューアルされた。
「今話題のAI(人工知能)トイレだ!高かったぁ。」と嘆きつつ満足げな父。
(AIトイレ?何、まさか、喋るの?)鈴の頭に浮かぶのはそんなイメージ。
新しい物好きの鈴の父親が選びそうなものだった。が、見た目はいたって普通の温水洗浄便座の洋式トイレである。
「よっしゃ!俺が一番のり!」
こんな時率先して何でもやりたがるのが中学2年の弟の太一(たいち)だ。あまり興味なさげな鈴を押しのけてピカピカのトイレの中に入っていき、出てくるなりおおはしゃぎだった。
「すげーよ姉ちゃん!ヤベエ!」
「なに、なんか喋った?」
鈴は冷静であまり好奇心旺盛ではない性格だ。そんな鈴とは正反対の性格で、少しの日常の変化でもいつもお祭り騒ぎの太一がうっとうしくて仕方がない。
だが、今日の太一の興奮の様子がいつも以上だったものだから、鈴も気になった。
「喋るとかいうレベルじゃねーって!
トイレから出たくなくなるレベル!
入ってみなって!いいから!」
別に尿意もないのに・・と思いつつ鈴は仕方なくトイレに入った。
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