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【第6話】その他のモード
それから、
鈴の家のトイレの日常が変わった。
鈴の祖父はいつも「演歌モード」を選択。用をたすたびに音消し用の演歌が流れる。
これはまだ許容範囲だ。
鈴の母は、「褒めて伸ばすモード」を選択していた。
このモードも突っ込みどころ満載だった。例えば用をたすのに時間がかかると
「「今日は時間が少しかかりましたね。でも、大丈夫です!
みてください!
血も混じらず、色もよく、健康的なものが出ています!
これは、紛れもなくあなたが日々の食生活を見直し、体調管理をうまくできている証拠!
健康を保つこと、当たり前に見えますがこれこそ最も難しいことなんですよ!すごい!あなたはすごいのです!この経験を糧に次回はもっともっと質の良いトイレタイムを過ごすことができるはずです…」」
としゃべる。
(う、、、うっざ。ていうか、くどい。くだらない。お母さん、なんでこのモードにしてるの?
まさか、私たち子供の教育の参考に?!
いや、こんな指導、萎えるわ!!)
このモード、鈴は1日で飽きてしまった。
太一は「ホラーモード」を選択していた。これ、便座がキャーキャー叫んだり、揺れたり
忙しい。
(こんなの安心してトイレできないし!)
鈴の父はというと、
「戦闘モード」を選択。
「「くるぞ!発射!!」」
「きゃああああああ?!!」
勢いよく洗浄が始まり、
「「目標 戦意を喪失した模様!打ち方やめ!」」
・・・終わった。
「どうだ?鈴。新しいトイレは。結構楽しめるよなぁ!やっぱり何でも物は新しいものがいいよな!」
と誇らしげに笑う父を鈴は複雑な気持ちで見ていた。
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