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【第8話】・・のくせに
(うるさい・・・AIのくせに。)
この日の鈴は、かわや君と遊ぶ心の余裕なんてなかった。
トイレには遊びに来たのではなく
泣くために来たのだ。
「「鈴?」」
「うるさい!!!」
話しかけてくる かわや君のスイッチを切ろうと壁に取り付けられた画面に触れようとした。
もう行っちまうのか?とモード切替の時のお決まりのフレーズが流れると思っていた。
しかし
「「なんだよ。らしくねえじゃねえか。」」
いかにも
人間のようなリアルなリアクションに、思わず鈴の手が止まった。
「・・・ぅえ?」
涙も止まった。
(AIって怖いなぁ。本当によくできてるなぁ。)
「「何があったんだよ。いつも話してくれてるだろ?
電源切れるまできいてやるから。話してよ。
鈴。俺は
単なるお前のトイレのつもりじゃねーよ?」」
なんだか笑えてきた。
でも、相手がAIだからこそやっぱり聞いてほしかった。
AIは他人に告げ口したり、自分を傷つけたり、裏切ったりしないから。
「かわや君、あのね・・・?」
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