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慈しむ様に、タロウの両手が私の頬を包み込んだ。
「言葉もわからない俺と一緒にいてくれた。ただ側にいてくれた。それがどれだけ俺にとって嬉しくて心強かったかわかる?」
「私、もう周囲に何を言われても構わないよ。タト君ともっと話したい。私にとって初めて出来た友達だもの。私、柔道部で鍛えてタト君守るよ!」
時間の長さなんて関係ないと思う。何故なら、私はこんなにも惹かれているのだから。
「いや、そこは男の俺が」
「いやいや私が」
「いやいや俺が」
一瞬見つめ合い、あの時の笑顔のままで笑った。
「安心して。婚前交渉はしないから」
「え? 結婚するの?」
「俺は、キーホルダーを渡した時から決めていたよ」
「会えなかったらどうしていたの?」
苦虫を潰した様な顔で、タロウは私のほっぺをつねった。
「会えたからいいんだよ」
タロウは私のおでこに接吻をした。緑色の瞳が、私を捉えた。
「好きなんだ」
ほっぺに接吻をし、タロウは顔を赤く染めた。そばかすが、宝石の様に輝いて見えた。
「好きだよ、ハナコ」
母が言っていた言葉がその通りになった。初めての友達が、私の彼氏になった。父はどう思うだろうか。今度こそ、干物になるのではないか。
「俺だけの宝物だ」
「トレジャーハンターだね」
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