第二話

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「誰にも触らせない様に、普段は泥んこの石っころに擬態しておいてね。あ、豚饅頭は美味しく食べられちゃうから駄目」 「豚饅頭だったり、泥んこの石だったり。最早私は人ではないのか」 「嗚呼もうさ、本当にどうしよう。ハナコが足りない」 「そう言われても」 「好き。全部好き」 「まだお互いに知らないことが沢山あるよ」 「これから知っても好きにしかならないからいいんだよ」  タロウは深呼吸をした。視線が交わる。 「好きだ。ハナコが大好きなんだ!」  さっきまでの苦しさが、嘘の様に溶けていく。 「タト君。大好き」  胸ポケットには、あのキーホルダーが入ったまま。  離れていた時間を埋める様に、二人の唇は繋がった。 「本当に私の容姿気にならない?」 「何を今更」 「だって」 「俺だけが知っていればいいよ。ハナコの良いところ全部」  タロウはくしゃっと笑った。石の様に燻っていた心が、宝石の様に輝き出した。 「もう離さない」  縁は結ばれた。 「柔道で強くなって守るからね!」 「本当に強くなりそうだなあ。かかあ天下も悪くない、か。そうだ。帰りに豚饅頭買って食べようか」 「私、美味しいところ知ってるよ」  初めて出来た友達との、宝物の記憶。そして、その友達が最初で最後の恋の相手となる。 「ハナコ、手」 「うん」     
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