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第二話
翌日。いつも通りに学校に行くと、周囲の視線がいつもより強く感じられた。
「そうらしいよ」
「ちょっと接点合ったからってさ」
「本当に気持ち悪い。鏡見ろっつうの」
大体のことは察知出来る。そうなるときっとこの後は。
「ねえ。ちょっといいかな?」
「昨日の、えっと」
「話があるの」
タロウの幼なじみが、隣のクラスからわざわざのご来訪。私は大人しく後を追った。タロウが廊下の端に見えた。
着いた場所は仮入部同好会の空き教室だった。
「あのね、まどろっこしいの嫌いだから言うね。タロウに近付かないで」
「近付いたわけじゃないよ。私とタト、タロウ君は昔に会ったことがあって」
「知ってる。タロウが中学生の頃、キーホルダーの話をヨウタに話しているのを聞いていたから」
「狭山さん、でしたよね? 何故そんなことを言うんですか? 自分で言うのもあれだけど、こんな見てくれだし、周囲からは」
「豚饅頭、だっけ?」
凄く可愛い素振りで、ころころと鈴の様に笑う人なんだ。
「私がずっとタロウの側にいたの。日本語を頑張って覚えているときも、日本の文化に馴染もうとしている時も。あなたじゃなくて、私なの」
その言葉には確かな自信が見えた。
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