雨とバス停

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雨とバス停

 サアサアと雨が降っている。ぼんやりと外を眺めるとバス停の屋根からぽたりぽたりと水滴が落ちてきた。豪雨でもなくサラサラと流れる雨はまるで浄化の雨だなと思った。 フッと我に返り、人はヒマを持て余すとポエティックになるのだなと自嘲気味に笑った。 田舎の古びたバス停には、なかなかバスが来ない。来なさ過ぎて最早バスを待っているのではなく、何もしたくないがゆえに敢えてバスを待っているようなものだった。 しかし田んぼが広がり遠くにお寺の境内が見えるような何もないバス停で一人雨宿りをしているのには訳がある。 その日も雨が振っていた。そしてその日は傘を忘れた私は、例によってバス停で雨宿りをしたのである。しかしその日はいつもと違い、珍しく同じように雨宿りをしに来た男がやってきた。 その男は黒いロングコートを羽織っており、傘は差していなかったっため頭から肩にかけて特に濡れていた。いきなりぬっと黒い物体が視界に入ってきたものだから、まるで死神のように見えて顔にこそ出さなかったものの少々面食らった。 その顔も美しく整っており、水も滴るいい女というがなるほど男にも当てはまるようである。 少し顔を見合わせながら男は座りつつ、     
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