雨とバス停

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彼女は毎日、このようにすれ違うたびに嫌味をつぶやく。 私は、あまりにも嫌なのでこうして関わらないようにしていた。 実は、彼女と私は血が繋がっていない。父親が再婚をしたので私は彼女と暮らすようになったのだ。 最初こそ優しくしてくれていたのだが、一緒に暮らすうちに父親との喧嘩の回数と比例するように私へのあたりが強くなった。 そういうわけがあって、私は彼女を母親とは認めていない。 父親は私と彼女の仲が悪いのはわかっているのだが、どうにもならないと思っているのかそのうち何も口を出さなくなった。 もともと、彼女と父は仲が悪くなってしまったのだからそれどころではないのだろう。 父はバリバリと仕事をこなす人だった。その分ストレスが半端じゃなかったのか、 そのうち、そのストレスを家庭で発散するようになった。 飲み会があった日は特にひどく、酒が入った状態で抑制が効かないまま母に暴力をふるうこともあった。 しかし彼女は意地になって相談所に相談することもなく、私はといえば卒業したら一人暮らしをしようと考えていた。 今の彼女が来る前の私の本当の母親も、それが原因である日突然、私を置いて蒸発した。 よくは覚えていないのだが、私が生まれてから1年後に母は子供を身籠ったが、流産したらしい。それが引き金となったのだろうと聞いている。私は、当然原因はこの父親にあるのだろうと思った。
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