雨とバス停

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「どうかしたの?」と聞いても 「いや、何でもない」と言われて、それ以上の追求はできなかった。 その代わり、 「ほら、そろそろ子どもは帰る時間ですよ、両親も心配しているよ」 といって、話をはぐらかされた。 この住職は、私の両親のありさまを知っていて敢えてそんなこと言う。 「うちの親が、心配しているわけないじゃん」 「そんなことない、ほら帰るよー」 私の肩を押しながらそんなことをいう。 「えー、やだ帰りたくないー」 「やだじゃない、帰るの」 私たちは、ただただ軽く言い合いをしていたくて、敢えてこんなことを言ったりする。 その証拠に、私たちはぶつくさ言いながらも足はしっかりと山門のほうへ向かっていた。 出口まで来たので、「またねー」と言ってバス停へと向かった。 しばらくして、バスが止まり乗り込んでいつもの手前の座席に座る。 座ってから、家に着くまでの時間が一番苦痛だった。 帰りたくもないのに、じっと着くのを待つ時間が気が重くて耐えられそうもない。 そうはいっても、時間は立つものでぼーっと外を眺めていると降りる駅に着く。 数十分歩いて、至って普通のアパートが見えてくる。私の家だ。
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