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真桜とアカリの言い合いに、横から天若が口を挟んだ。空になった壷の中にお椀を放り込んだ天若は、無造作に壷を下に放り投げる。朝日を浴びて閉じた鬼門の前にいた鬼が慌てて受け止める姿が見えた。
『真桜様、長く待たせてはなりませんわ』
待たされすぎて呪詛を吐いた藤姫は、鬼門の上に堂々と正座している。その隣で黒葉が苦笑いしながら『孤立無援ですね』と突き放した。
『神族に戻っても、式神の契約は継続するからな』
華炎がぶっきらぼうに告げる隣で、華守流は口元を押さえて笑っている。どうやら本当に誰も助けてくれないらしい。
お手上げだと両手を挙げて降参を示した陰陽師は、寄りかかっている神様の唇にもう一度接吻けた。
「はいはい、全部オレが悪いんですよ。弟子は通いにする、どう?」
妥協案を出した真桜に、するりと白い手を首に回したアカリが囁いた。
「しかたない、許してやろう――お前はオレのお気に入り、だからな」
―終―
※3部終了となります。お読みいただき、ありがとうございました。
こちらで完結予定なので「完結マーク」に変更しますが、「続きそうな」「終わりでもいいよな」感じにしました。気が向いたり要望があれば続きを書くかも知れません。
なにしろ気まぐれですので(・ω・;A)アセアセ…
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