02.***悪噂***

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「なぜ、そうなる」 「お前がその貴族を放置したからじゃないか」 「だって自分の屋敷だぞ? 式神使おうが術を揮おうが、オレの領分だし勝手だろ」  陰陽師が自分の屋敷で式神(しきがみ)や陰陽術を使って何が悪い。真桜の言い分に、周囲の陰陽師たちに同情の色が浮かんだ。彼らも同様に式神やら式紙(しきがみ)を使うのだ。  勝手に不法侵入した挙句、腰抜かして逃げる貴族にどうしろと? 何より、陰陽師から術や式紙を奪ったら何も残らないのだが……。  そもそも…幽霊が出た、妖が怖いとすぐ泣きつくくせに、陰陽師を蔑ろにする貴族が多すぎる。いっそ泣きつかれても無視していいなら、少しは陰陽師を敬ってくれるのか。ならば、連中に実害が出るまで放置してやるのも一手だ。  物騒な考えが真桜の脳裏を過ぎる。 「お前、怖い顔してるぞ」 「いや、いっそ役目を放棄してやったら、もう少し陰陽師の地位が上がるのではないかと思った」 「思うのは自由だ……」  北斗は呆れ顔で首を横に振った。声に出すなら、さほど思いつめていないと分かるからだ。本気で考えていたら、真桜は絶対に口にしない。いきなり行動に移して徹底的に敵を殲滅する部類なのだから。 「最上殿、主上から…」     
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