05.***呪味***

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05.***呪味***

 出仕する北斗を見送り、真桜は再び板廊下に寝転がった。いつの間にか、アカリが人形(ひとがた)をまとって膝枕をしてくれる。暖かな日差しに誘われて、しばらく眠りの船をこいだ。  ざわっ……。  全身の毛が逆立つような不快感に目を覚ます。アカリは整った顔の眉間に皺を寄せて、一箇所を睨んでいた。誘われるように同じ場所に視線を移し、真桜は舌打ちする。  晴れた昼時の明るさを台無しにする闇が、門の付近に漂っていた。おそらく呪詛だろう。只人の目には視えないが、よほど鈍感でなければ近寄ろうとしない程度には強い。  無理やり身を起こすと、まだ二日酔いの影響がある身体はひどく重かった。神族であるアカリに任せてもいいが、真桜は頼るより先に動く傾向がある。  手早く九字を切り、呪を飛ばす。 『ひふみよいつむななやのここのたり、(せい)なる門よ、(せい)なきモノを(とざ)す』  事前に張った結界が黒い闇を包んで光を放った。周辺の結界を引き込みながら、光は小さく凝縮されていく。右手を胸の高さで握りこむと、さらに光は小さくなった。     
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