02.***悪噂***

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02.***悪噂***

「というわけだ」  北斗の説明に真桜は頭を抱えた。朝の出仕で突然門番に絡まれ、周囲の貴族は何やらひそひそ噂話に興じている。何かあったと考えるのは普通だが、その問題の中心が自分だと思わなかった。  要約すると、ある貴族の息子が供と歩いていたところ、気になる屋敷があった。どうせ年頃の美しい姫がいないかと覗いたのだろう。そこにすさまじい美人がいたのだが、残念ながらアカリは男の姿だった。だがその後ろで箒が勝手に掃除をし、式盤が浮いている。  只人でしかない貴族と供の童はさぞ驚いた筈だ。その勢いで叫んだら、なんと隠れていた紫陽花の木が風もないのに揺れて、自分達が見つかってしまった。  ここまでは事実どおりだ。問題はこの先、貴族の息子の考えにある。  ――この屋敷は呪われた、邪教の支配する地。  周囲の貴族や知り合いに触れ回ったのだ。かなり混乱していたから気持ちは分からなくもないが、その騒ぎに便乗した連中がいた。元から陰陽師の存在をよく思わない一部の貴族達は、その噂話を上手に利用する。  最終的に『陰陽師は悪、その筆頭が最上(もがみ)(真桜の(あざ))殿だ。主上(おかみ)は騙されている』に繋がった。     
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