内緒

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 だが、今は。  清廉な清貴が、僕を愛してくれるとは思えない。  強く望まれれば体を許すと、恥ずかしい告白をしたばかりだ。  夢魔に付け込まれるほど、淫乱な姿を晒したばかりなのだ。 「同情はいらない」 「同情じゃない」  俺はお前が好きだ、と真っ直ぐな眼を向ける清貴。  立ち上がり、奏を長い腕で、大きな掌で抱きしめた。  数年前に、あの日にそうしたように、しっかりと抱きしめた。
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