内緒

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 実行に移さないのは、愛する人が、愛してくれる人がいないのか。  清貴が問うと、奏はつぶやいた。 「好きな人はいるんだけど」  でも、その人は高根の花だから言い出せない、と答えた。 「俺では駄目か」 「清貴?」 「今度は俺が、お前を救いたい」  あの日の事を言っているのだ、と奏はすぐに理解した。  恐ろしい出来事のあった日。  ただ、自分は清貴のことを愛していた。  愛していたから、彼の心を慰めたかったのだ。  
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