マサトシ

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マサトシ

シュシュ です 柊子は 自分で『シュシュは~』というから シュシュ です シュシュ はドーナツ状の布製の髪留めです 仏語では chouchou / すてきな かわいい の意味があります マサトシ とは高校からの付き合いです 高校に入っての二学期・いつも一人でいるマサトシが心配で 声をかけました なかなか話をしてくれなかったけれど・シュシュのシツコさに負けて話をしてくれました それで 少しずつお互いの話をするようになりました 三年生になったマサトシは大学に進学しない と云い出しました/ 勉強はそれなりに出来ていたので 大学に行こうと思えば行けたはずです でもそれは個人の考え方だし シュシュにはどうすることもできませんでした マサトシは卒業すると 契約社員を派遣する会社に登録をしました・募集条件を選ばなければ それなりの仕事はありました/ でもマサトシは ”週3日か4日しか働かない” を第一条件にしたので パートのような形で働くことが多くなりました そんな働き方なのに 一人暮らしを始めました 両親からは ”大学ぐらい出ておけ” とか ”専門学校はどうなのか” とか・いろいろと云われてましたが・結局 大学の学費1年分のお金を父親から借りて・谷保駅の隣の多摩矢川駅から20分は歩く 古いアパートを借りました/ ユニットバスはリホームされていました 大学に行かなかったマサトシは 何か悩んでいるコトがあるのは解るのだけれど・それに触れていまうといけないような感じがして触れませんでした いかにフダンのマサトシに明るく充実した日々を過ごさせるか がシュシュの目標でした 一人でいたがる人です(シュシュといるので二人といえば二人です) マサトシには一つ年上のお姉さんがいますが・このあいだ海外の人と事実婚をして今は地球の反対側に住んでいます そんな子ども達の代わりにと・マサトシの両親は 猫 を飼い始めて 名前を エノキ と名付けました エノキは 榎 で 冬と夏 だからシュシュとなかよしです シュシュは というと・シュシュにもやりたいことが出てきました/ テレビを見ていて ”歌ったり踊ったりするのが本当は大好きなんだ” ということが分かりました アイドルを目指してみたいとも思ったけど・それはマサトシ次第でした だって・いかにフダンのマサトシに明るく充実した日々を過ごさせるか がシュシュの目標だったからです 
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