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そして同時に、霊術師や陰陽師、冥官を初めとした存在を空の上のような遠い存在で見ていたことを、恥じる。
「―――ごめん、なさい」
思わず、呟いた。
この人たちも、自身と何ら変わらない。
心の奥底では、ただの人なのだ、と。
「は?」
「次だけじゃない……俺、もっと貴方と話がしたいです。次だけじゃなくて、次の次も、もっと先も……俺と、話しましょう。友達として」
謝られたと思ったから拒否されたのだと、翠鳴は当たり前の思考を持っている。
〝ざまあみろ次代。ん? 俺か、まあ俺はなんとも思わんぞ、ふはははは〟
〝人のこと言えるか手前ばーかばーか!〟
―――なんて内心で取っ組み合いを始めようとしていた二人の冥官は珍しく表情を崩して、目の前の少年を、見た。
ああ、なんて―――。
翠鳴は宙を仰ぐ。
碧哉は俯く。
双方の心をくすぶるくすぐったさで思わず、笑みを零す。
この子供は、本当に―――。
あの子に、似ている。
「勿論」
この返事が翠鳴だったのか、碧哉だったのか。
どちらかは、紅には分からなかった。
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