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朝、隣家のドアが開く音で目を覚ました。僕もゴミを出すふりをしてドアを開けた。ミナガワさんはすでに階段を下りた後だった。見送りのために外に出ていたホスト風の男と目が合った。
「おはようございます」
僕はお辞儀をした。
「……どうも」
ホスト風の男はそそくさと自分の家に戻ろうとした。
「あの……」
「はい?」
「お、お綺麗な彼女さんですね」
僕は精一杯の笑顔を振りまき、男にそう言った。
「ああ、彼女じゃないです。妹です」
「え? 妹」
「はい。では……」
僕は閉じられようとするドアを手で押さえた。
「まだ何か?」
「失礼ですが、あなたの苗字は……?」
「ミナガワですけど」
僕が手を緩めると、ホスト風の男はドアを閉めた。
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