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アイリスがそう言うとイライザとエリーゼは無言で一礼した後に捕虜達の所に近付くとその前にトレイを置き、それとほぼ同時に中隊長と顎を砕かれたエルフ兵が戒めを振り解いてイライザとエリーゼに飛び掛かり、運んで来た水と軍用ビスケットが拷問部屋の床に散乱する中、羽交い締めにされたイライザとエリーゼの喉元に中隊長とエルフ兵が隠し持っていた短刀の切尖が突き付けられてしまう。
「クックックッ、あんな緩い戒めとおざなりなボディーチェックしかしないとは頭の緩そうな外見に相応しい杜撰さだな」
「よう、こう言う時は逃げられねえ様にしっかりしなきゃいけねえぜ、頭の緩い色情狂な御山の大将さんや甘ちゃんの牝犬騎士団長達には高尚すぎる話だろうがな」
中隊長とエルフ兵が哄笑しながら宣っているとミリアリアとアイリスに腕を斬られたエルフ兵達が魔力の風で戒めを斬り払った後に勝ち誇った笑みを浮かべて立ち上がる。
「俺等エルフを捕らえる時は魔力封じをした上で捕らえなきゃだめだぜ、こんなちんけな戒めなんざ紙みてえなもんだからよ」
「余りに無用心過ぎて罠かと思ってたが考えすぎだったみてえだな、斬られた腕の対価たっぷりと払って貰うぜ」
腕を斬られたエルフ達はそう言いながらイライザとエリーゼを羽交い締めにしている中隊長とエルフ兵の傍らへと移動し、アイリスはその様子に小首を傾げながら言葉を続ける。
「……あらあら、せっかちさんなのねえ、折角用意してあげたお食事いらないの?」
「クックックッ欲しい物はあんな物等じゃなく貴様のふしだらな身体だ」
「折角助けたこいつ等がどうなってもいいのか?御山の大将じゃねえって言うならこいつ等を助ける為に身を差し出すくらいしてみなよ、色情狂の獣人さんよお」
アイリスののんびりとした言葉を受けた中隊長とエルフ兵はイライザとエリーゼの喉元に短刀の切尖を突き付けながら告げ、腕を斬られたエルフ兵達もその言葉に野卑た笑みを浮かべているとアイリスはのんびりとした表情を浮かべながら右手を掲げる。
アイリスの掲げた右手の前に黒い焔が生じ、アイリスが無造作にそれを掴むと焔は一瞬にして大鎌へと変化した。
「クックックッどうする気だ?こいつ等がどうなってもいいと言うのか?」
アイリスの行動を目にした中隊長は嘲笑と共に問いかけ、それに対してアイリスは小首を傾げながら言葉を返す。
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