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空が綺麗な朝から僕は彼女に会うために家を出た。
彼女に会うためだけに病院へ。
しかし、彼女はもういなかった。
病院にも、家にも……。
僕は疑った。
自分の聞いたことを、見たことを。
全部投げ出しくなった。
死んでしまいたくような感覚に陥った。
しかし……
「ねぇ、もしだよ?もしの話なんだけど私がこのまま退院出来なくて……死んでしまったらどうする?」
「まず、死ぬとか言うなよ。大丈夫だって。」
「そんな簡単に言わないでよ。自分がもう寿命がないのは分かってる。だから聞いてるの。真面目に答えて。」
僕は言葉を言う事が出来なかった。
彼女の寿命がもう残り少ないのは分かっているけれどそれをどうしても認めたくなかった。認めてしまったら僕はこれから先どう生きていけばいいのか分からなくなってしまうから。立ち直れなくなってしまう。
だから僕は彼女の問いに答えることが出来なかった。
「あのね、もしね私が死んだら私の家に貴方に見てもらいたいものがあるの。それを貰ってほしいんだけど……。貴方の好きなように扱って……。」
「見てもらいたいもの?それって……お前が死なないと駄目なのか?」
「うん…」
それっきり彼女は黙り込んだ。
その翌日彼女は永遠の眠りについた。
彼女のお葬式が終わったあと彼女の部屋にはいらしてもらい、机の上にある一冊のノートを手にとった。
そこには僕の名前が書かれてあった。
僕はそれを読んでいくうちに涙が溢れ止まらなくなった。
ここでは書ききれない程の文字がたくさんあった。
最初は日記みたいだったものが手紙みたいなものになっていった。
ー私は貴方に会えてとても嬉しかった。もし、最後の我儘が言えるのであればこれからもずっと私だけを愛して欲しいのです。貴方には迷惑をかけることは分かっているけれどそれでも言いたいのです。もし、貴方が私と違う人と付き合う事になったら……悲しいけれど応援はするつもりです。その時は絶対彼女の事を幸せにしてあげてね。
最後に、私は貴方の事をずっと愛しています。ずっと……ー
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