変化

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 目が覚めると雨が降っていた。自分の心のなかを見ているみたいだ。外に出るため動きやすい服装に着替える。リビングに行くと、いつも通り母は仕事に出ていてパンだけが置かれていた。僕は非常識だと知りながらも淀島研究所に向かうことにした。  僕は玄関のドアのまで深呼吸をする。彼女があそこまで僕に尽くしてくれたんだ。頼むから練習の成果が出ていてくれ。ドアを力一杯押し、外に出る。少し吐き気が残っていたがこれくらいなら行ける。僕は走った。  だいたい三十分かけてきた淀島研究所は一昔前を連想させた。くすんだ壁にはたくさんの蔓が張り付いていた。チャイムを鳴らすと、白髪の男の人が出てきた。 「何か用ですか?」 「実はここに僕のAIが来ているはずなんです。アイっていう名前何です。会わせてください。」 彼は手を叩いた。 「…なるほどそういうことか。いいだろう、会わせてあげよう。僕も君に会おうと思っていたんだ。」  そう言って休憩所の様なところに通された。彼の真向かいの椅子に座ると話始めた。 「僕は所長の相沢だ。君は例外のAIの持ち主ということだな?」 僕は少し戸惑ったが首だけで頷いた。
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