始まり

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 ここはどこだろう?学校の校庭だろうか。見覚えがある。そして赤と白のの大玉や玉入れのかごなどがある。そうだこれはあの日の一年生の時の運動会。時間は一気に流れ、運動会が終わっている。僕の膝には擦り傷。そして僕を睨み付けるクラスメイトの顔。息が乱れる。駄目だ、もうやめてくれ。  自分の部屋に眩しいくらいに日差しが入ってるいる。なんだまたあの夢か。僕は安堵する。何か自分の生活が少しでも変わるとあの夢を見る。  両手で頬を叩き、階段を降りる。ドアを開けると昨日と同じ白のワンピースの女の子が見える。夢じゃなかったのか。これが夢だったら良かったのに。 「おはよう、蓮くん。」 「ああ、おはよう。」 僕はテーブルに置いてある自分のパンを食べ始める。 「蓮くんはお寝坊さんだね。」 こういう場合どう対応すればいいのだろう。昨日来たばかりのAIに話しかけられてなんと答えるべきか。 「少し悪い夢を見ただけだよ。」 結局、正直に答えてしまう。 「何か困ったことがあったら私に言ってね。私何でもできるから。」 「何でも?それは無理じゃないか。僕の悩みを解決することはできないだろうからね。」 「蓮くんにも悩みがあるのか。話してみてよ。」 「話したくない。」 彼女は少し不満気な顔をして言った。 「話してよ。話さないと悩みを解決できないし、私が何でもできるって証明できないじゃない。」 とても人間臭くて僕は興味をそそられた。本当は誰かと話したかっただけかも知れないけど。 「わかった、わかった。話すよ。僕はあることがきっかけで学校に行ってないんだ。そのせいか外に出ようとすると、気分が悪くなり、心臓がばくばくする。」 「んーとつまり、外に出れるようになれば良いってこと?」 「そういうことだね。」 彼女はやる気を見せ、今日の夜中に行こうと言った。本当はあまり乗り気じゃなかったけど、これで出れるようになったらすごい進歩だ。そのきっかけを作ってくれた彼女にはわずかだか感謝している自分がいる。
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