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「ねぇ、起きてよ。起きて。」
アイは僕のベットに腰掛け、覗き込むような体勢をしていた。僕はゆっくり起き上がり、カーテンを少しめくった。外は真っ暗だった。
「まだ夜じゃないか。こんな時間に起こして何を…」
思い出した。そうだ今日から少しずつ外に出る特訓をするんだった。
「何寝ぼけてるの?さあ行きましょう。」
彼女はベットから降り、階段を下りていく。僕も慌てて追いかける。母が寝ているため、静かにしなければ。玄関までたどり着き、彼女は振り返る。
「一度外に出てみて。」
「そんなの無理に決まってるだろ。何か対策があるのかと思ってきたのに。」
彼女は少し笑った。
「どんな感じに外に出れないかを見るためだよ。そしたら対策も考えられそうだしね。」
僕は言われた通り外に出るために靴を履く。この靴を最後に履いたのはいつだったろうか。そんなどうでもいいことを考え、ドアの前に立つ。深呼吸をし、ドアノブに手をかける。直後、吐き気が遅い、呼吸が荒くなる。駄目だ苦しい。そこから記憶がなくなった。
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