0人が本棚に入れています
本棚に追加
/14ページ
なんとか彼女に起こされて起きることができた僕はまた外を見る。今日は空が曇っていて月や星が見えなかった。僕はため息をつきながら彼女と玄関前まで行く。
「さて準備はいい?」
僕は靴を履き、彼女の手をとる。彼女の顔が赤く見えるのは気のせいだろう。何せAIだから具合が悪いとかはないだろうし。
僕は手を繋いでいない方の手でドアをつかむ。吐き気がいつもより少ない。彼女の言うとおりだ。僕は彼女にうなずき、ドアを押した。外は相変わらず暗く、肌寒かった。
「蓮くんすごいね。やっと外に出ることができたじゃん。」
僕は首を横にふる。
「アイが手を繋ぐことを思いついたからだよ。僕は何もしてないからね。」
アイも負けずにいう。
「私が提案したとしても、結局蓮くんの力だからね。」
「そんなことないよ。」
二人だけの世界みたいだ。こんなに幸せに感じたことはないのではないか。多分僕はアイに恋をしているのかもしれない。AIに恋をするなどおかしいというだろう。この気持ちに嘘偽りなどなく、純粋な好意しかないのだ。
最初のコメントを投稿しよう!