彼こそ

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食堂、本来は静かに食事を取る場であり、騒ぐ場ではないのは子供でもわかる筈だ。 それが通じないのが、所謂王道と言われる学園の特徴でもある。 顔が整った者、特に人気がある者が来る度にわあわあと場が湧き、暫くは収まらないのはいつもの事。 とは言え、最近はその騒がしさもまた以前とは変わり、一部の人気者に向けられる目も変化した。 転入生が来て、食堂で生徒会と邂逅したあの日。 その日を境に全てが変わった。 「「ちーちゃんほんとかーわいー!」」 「俺は可愛くねぇ!」 「おい、あんま千春に近づくな!」 ヒソヒソと話す声や、あからさまな騒めきの中、特に騒がしい一角。 今や知らぬ者は居ない転入生、佐山千春と、その取り巻き。 それに嫉妬、呆れ、嫌悪様々な感情が渦巻く。 普段なら役職にある生徒のみが使える二階席に、特別扱いのように上がって行くのだが、今日に関しては一階の一般席のど真ん中を陣取っている。 見せびらかしたいのが見え見えだ。とは、近くにいた親衛隊員の言葉。 あまりの騒々しさに、生徒会の親衛隊に属する者の中にも迷惑そうな顔をしている者も少なくはない。 しかしながら最近の行いに不信感を抱かれているとは言え、生徒会は学内で理事長に続いての権力を持つに近く、物申せる立場にある者は限られてくる。 そんな一部の者も、進んで関わる者は殆ど居ない。
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