彼こそ

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周囲はついに委員長が切れるのではと震えた。 立場故に、学園内で仕事以外で暴れる事はないが、実は短気で暴れると手が付けられないのだという噂も密やかにあったりする。 「や、やめろよ!俺の為に!」 誰もが注目する二人の中に、割り込んだ転入生もとい佐山に多くが瞠目した。 いや、どう見てもお前の為ではない。と言う状況だが、本人は恥ずかしそうに二人の間に立った。 「その、二人共俺の事好きだからだよな?俺もその気持ちは嬉しいから、二人のこともっと知りたいし!」 ほおを赤らめにっこり笑う。 いや長めの前髪と眼鏡と言う王道容姿で、表情が見えないが雰囲気はそうだ。 それに春宮の態度は軟化したが、梓川は逆に苛立ちを露わにした。 「悪いが、俺は俺の恋人にしか興味が無い」 「えっ」 何を言っていると言わんばかりに佐山を睨みながら、ハッキリと言い切ったその言葉に、皆驚く。 恋人が居たのか、や、意外と恋に生きる男だったのかと騒めきが広がる。 「てか転入生カッワイソー」 「思ってない癖に!でもあれは恥ずかしいわ」 中でも特にお前は興味はないと切り捨てられた形になった佐山をいい気味だと、込み上げる笑いをそのままに囁く生徒の数の多いこと。 その声は佐山本人にも聞こえたのか呆気からどんどん、怒りにその色を変えた。
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