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「まぁ、それはいいって。じゃ、改めて紹介するわ。この圧の塊のようなこいつは俺の姉貴であり…ずっと、席が空いたままだったそこの席で事務として働いてる。」
「ああ、事務の人っ!」
確か、市川さんがまた紹介するって言ってそれっきり…
「すっかり忘れてました。」
「そっ、お前、完全に忘れてたろ。」
えっ、でもお姉さんって…
「会長の息子さんと結婚してるのにどうしてこんな…あっ、えっと、」
つい口が滑ってしまった。
「いいのよ。本当にこんな会社だもの。」
「おい。」
と仁さんがすかさず突っ込む。
「あら、本当の事じゃない。まぁ保険みたいなものよ。」
「保険ですか?」
「そっ。大企業に嫁いだとは言え、いつ離婚するかわからないでしょ?その時に、取り敢えずここで働ければなんとかなるし。それにこうして現役で働いてると次も探しやすいじゃない?そもそも私、こう見えて大人しく社長婦人やるようなタイプじゃないのよね。」
「はぁ…」
いや、誰が見ても大人しくしてるタイプじゃないですよね。
口が裂けても言えない。
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