1530人が本棚に入れています
本棚に追加
私の言葉に五嶋さんが言葉を選ぼうとしているのがわかった。
やはりそういうことか。
私と五嶋さんとの仲を疑ったってことだよね?つまり、五嶋さんを困らせるというより私に対してってことか…。
「その方に誤解させてしまったんですね。私と五嶋さんなんでもないのに…」
仕事の上で食事にも行ったけれどそれ以上のことなんてない。
けれど仕事を辞める彼女にしてみればやはりおもしろくはないよね。
「楠原さんが原因じゃないですよ。僕がいけないんです。仕事相手の方なのに僕が楠原さんを意識していたから、女性として…」
「意識?女性としてって…ええっ!」
「そんなに驚くことじゃないでしょう?これでも僕はずるいところがあるのでさりげなく匂わせていたつもりです。」
「そそ、そうですか?」
「でも、安心してください。別にどうこうしようなんてありません。そもそも楠原さんには胡桃沢くんがいますし、それに…これからも仕事でお世話になりますからスルーしてください。おっと、話しすぎました。そろそろ売り場に戻らないと。」
次回の打ち合わせの予定を確認するといつも通りの爽やかな笑顔で五嶋さんはその場を去った。
休憩室に一人残された私。
しかも、さらっと爆弾発言投下されて。
い、意識って…
やっぱりそういうこと?
えっ?
ええっ?
最初のコメントを投稿しよう!