1530人が本棚に入れています
本棚に追加
「で、あんたはどうなのよ。仁とは嘘で付き合ってるならそれやめてこの際、五嶋さんと付き合えばいいじゃない。少しは自分の歳を考えなさい。この年齢でちゃんとした人から意識しているなんて言われるの宝くじ当てるより難しいわよ。」
「ぐっ…」
あまりにも正論過ぎてなにも言えない。
とはいっても五嶋さんはあくまで取引先の方であって今はーーー
「でも、今はちゃんと任された仕事を全うしたいんです。仁さんに初めて貰ったチャンスだし。」
アラサー崖っぷち、そりゃ仕事も恋もって欲張りたいけどどちらも手にいれて器用にできるタイプじゃないって私自身、一番わかってるつもり。
「そっ。あんたが納得してるならいいけど。へぇ、仁に初めて貰ったチャンスねぇ。」
そう言いながら喜奈さんは目をスッと細め意味深に笑う。
こ、怖いっ。
「あ、あの、この事はーーー」
「わかってるわよ。それくらい。仁には内緒ね。」
「はい、すいません。これまでにも色恋沙汰でダメにするなって何度か注意されてるので。」
私がそう言うと、
「ああ…そうね。あの子ならそういうだろうね。」
喜奈さんの言葉にずっと気になっていた事を思い切って聞いてみた。
「仁さん、社内恋愛でなにかあったんですか?」
最初のコメントを投稿しよう!