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「遅くなって申し訳ありません!」
古めかしい会社のドアを押し開けながら同時に叫ぶ。
すると、
「クズハラちゃんが遅刻とは珍しいね。」
と、市川さん。
「だけど連絡くらい出来たでしょうに。」
と、言いながらも心配顔で聞いてくれる喜奈さん。
そう、不覚にも私は遅刻した。
と言っても私はいつも通りの時間に家を出た。
いつも通り、電車に乗り余裕を持って間に合うはずだった。
なのに…そこで出くわしたのだ痴漢に。
と言っても私が痴漢された訳じゃなく、私は助けた方だ。
満員電車内で近くにいた女子高生の様子がおかしかったから少し位置をずらして確認すると、案の定。
周りの人の協力もあってなんとか痴漢を取り押さえ、後処理なんかも含めて今に至る。
が、何故、遅れるという連絡の一本も出来なかったかというと…
痴漢を取り押さえる騒ぎの時にどうやら手に持っていたスマホを落としてしまったらしい。
私としたことが…
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