1530人が本棚に入れています
本棚に追加
反論したいところだけれど、複雑な思いは無理やり押し込めお礼を言う。
「電話…してくれたんですね。ありがとうございます。」
「見殺しにすると後味悪いからな。」
どうしてもこの人は私を孤独死させたいのか?
いや、今はそれより、
「それで、私のスマホ繋がりましたか?」
もし誰かが拾ってくれてるならと僅かに期待する。
けれど答えはーーー
「いや、繰り返し掛けたけど出ねぇな。お前がこうして来なかったら今からお前んち行くところだったぞ。」
「家に…」
何だかんだ言っても面倒見いいんだよね、仁さんは。
「にしてもスマホ落としたって…はぁ。お前、遠隔操作出来るアプリとか入れてねぇの?」
呆れた顔で仁さんが聞く。
「いえ、そう言うのは…。すいません、私のことなのにご迷惑お掛けして。」
親身になってくれる仁さんに今度は心から素直に詫びる。
「私のことって、お前のスマホには俺の番号も入ってるだろが。悪用されたらどうすんだよ。たまったもんじゃねぇし。」
…………ですよね。
この人、やっぱりブレがないわ。
結局、自分だよね。
私が溜め息を溢しそうになったとき、喜奈さんがそっと耳打ちしてくれた。
「あれでもかなりあんたが来るまで心配してたのよ。分かりづらいけどね。」
「心配…?」
そんな訳…ある?
最初のコメントを投稿しよう!