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スマホを気にしつつ業務をこなしていると、仁さんが急に席を立ってパーティションの裏へと行く。
手には仁さんのスマホ。
もしかして…私の電話を拾ってくれた人からだろうか?と淡い期待を抱くも直ぐに冷静になる。
いや、そんな訳ないか。
いくらなんでも何度も着信入ってたからって人の電話勝手に使って履歴に掛けて来ないでしょ。
はぁ…やっぱり早く警察に届けよう。
本当に悪用されたら困るし、そういうの映画でやってたじゃん。
警察に電話するために隣に座る市川さんに断りを入れようとしたら、
「おい、新入り。」
とパーティションから顔を出した仁さんに手招きされる。
「はい…」
なんだろ。
ざわざわする。
不安なままミーティングルームの席に着くと、
「お前のスマホ、あったってよ。」
何故か不機嫌に仁さんが言う。
「ほんとですか!で、どこに?相手の方は?引き取りに行けばいいですか?」
良かった!あったんだ!
嬉しいやらホッとしたやらで胸を撫で下ろしていると仁さんが言った。
「俺も…わ。」
「えっ?」
「いや、だから、俺も一緒に取りに行く。お前のスマホ。」
「はあ?」
意味分かんないんですけど?
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