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えっ、なんで仁さんがわざわざ私のスマホ一緒に受け取りに行くの?
あっ、もしかして…
「相手の人、ヤバイ人ですか?お金請求してきたりとか?あーもう、どうしよう…警察に相談?いやでもなぁ、個人情報バレまくりだし…」
「お前さ、前から思ってたけどマジでどんな思考回路してんの?呆れる通り越してむしろ興味深いわ。」
言葉と違って全然興味無さそうな顔で仁さんが言う。
「いや、でも…えっと、どうしてわざわざ一緒に?」
だってそうじゃない?
よほどスマホを拾ってくれた人が訳ありなんでしょ?でないとおかしいじゃん。
私と一緒に来るなんて。
「どういうことか教えて下さい。」
思い切って聞いてみた。
すると、
「行けば分かる。今日の夜、空いてるよな?予定入ってるならキャンセルしろ。詳しいことは行ってからだ。」
言うだけ言ってミーティングルームから出ていこうとする仁さんが急に振り返り私の耳元に顔を寄せる。
「っ…、な、なんですか。」
「お前さ、俺の恋人だってこと忘れてねぇよな?」
「こ、恋人、設定…です、よね。」
なんでそんなこと改めて聞くのよ…
「忘れてねぇならいいわ。後、お前、もうちょっと服なんとかしろ。なんだ、その教育実習生みたいな格好は。」
「教育実習生って…でも機能的だし別に遊びに会社に来てる訳じゃないし…いいじゃないですか。」
私の言葉に心底呆れ顔の仁さん。
「はぁ…まぁ、いいわ。とにかく、今夜、スマホを受け取りに行くからヘマして仕事増やすんじゃねえぞ。」
好き勝手言うと仁さんはミーティングルームを後にした。
ヘマしてって、イチイチ腹立つなぁ。
まぁ、スマホ見つかったから良しとするか。
そう思うもののどこから腑に落ちないままデスクに戻った。
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