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「私もあの時、気が動転してて。拾って直ぐに駅員さんに渡すか交番にスマホを届ければ良かったものをついバックに入れちゃったのよね。そしたら拾ったスマホに何度も何度も着信があってもしかして落とし主?そう思って画面を見ると…知ってる名前と覚えのある番号だったから。」
そう言いながらゆっくりと視線は仁さんへ。
「で、俺のところへ連絡が来たわけ。」
その視線を受けた仁さんが漸く答えた。
「だって、仁くん大学の頃から番号変わってないんだもん。見てすぐにわかったわ。良かった…変わってなくて番号。」
「あっそ。」
懐かしい目を向ける菜乃花さんとは違ってどこか素っ気ない仁さん。
まぁ、素っ気ないのが仁さんだと言えばそうなんだけど…
なんか変なんだよねぇ。
確かに元カノに会うって微妙なシチュエーションではあるけれどさ…
いつもの仁さんらしさがない。
上手く言えないけど…
何とも言えない空気感を感じる。
そもそもこの二人はなんで別れたのかな?
見た感じ最悪な状態で別れたようには思えないんだけど。
それに…どれくらい付き合ってたんだろ。
さっきチラッと大学とかって言ってたしきっと長かったよね?
次から次へと聞きたいことはいっぱいある。
けれど…
聞いちゃいけない気がしたのは菜乃花さんに私を彼女だと紹介した癖に私の顔も菜乃花さんの顔も中々見ようとしないんだもん仁さん。
だったら最初から私のこと、彼女って言わなきゃいいのに。
どうせ、嘘の彼女なんだから。
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