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「で、なんでここなんですか?」
カフェを出て直ぐにタクシーを拾ってやって来た場所はいつものファミレスだった。
仁さんはハンバーグセットライス大盛りをあっという間に平らげ、今はデザートメニューを物色中だ。
「なんでって家にも近いし…別にいいだろが。」
目はスイーツのメニューに向けたまま安定の素っ気なさで仁さんが答える。
「私、さっきのカフェのパフェ食べてみたかったなぁ。せっかく菜乃花さんが美味しいって言ってたのになぁ。」
わざとらしいくらいオーバーに言うと
「それ本気で言ってんの?」
仁さんが漸くこちらを見た。
「えっ、本気って…だって美味しいんでしょ?それにあそこのカフェ雰囲気も良かったじゃないですか。」
不意打ちで目が合い急によそよそしくなってしまう。
「元カノと行ってた店で現カノが同じもの食ってお前はそれでもいいのか?」
は?
いやいやいやいや、
「私、仮、ですよね。偽物の彼女。虫除けじゃないんですか?」
ここは線引きをきちんとせねば。
なのに…
「チッ…面倒くせ。」
はいぃ?
なんですってぇ?
め、ん、ど、く、せ、?
意味わかんないんですけど。
一言、言い返さねばと思うのに仁さんに遮られる。
「俺、プリンアラモード。お前は?」
そう言いながらも呼び出しベル押してるしっ。
ていうか、私、まだご飯食べ終わってなーい!
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