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走ればいつもの電車に乗れるものを私は決して走らない。
私の座右の銘
『長い人生のほんの数秒急いでどうする』
急ぐと大抵ろくな事無いし、それに長い長い人生の2、3分急いだところで何が変わる?
まぁ、そうは言ってもその2、3分会社に遅れない為に私はいつだって余裕を持って行動しているのだ。
案の定、ほんのタッチの差で乗る予定の電車は呆気なく発車していき、それでも朝は電車が直ぐに来るのでホーム先頭に立ち、次の電車を待つ。
朝のラッシュで混雑するホーム上で、すぐ後ろに並ぶおばさんの圧にホーム下へよろけ落ちそうになるのを必死に堪え、間もなく到着した電車に乗り込む瞬間ーーー
真後ろのおばさんの圧は全開に達し、モノの見事寄り切られた私はドア横で呆然。
駅員さんが勢い良く吹くホイッスルの音にハッとして慌てて乗り込む。
大きめのバッグを前に抱え込みドア横に何とか立つ。
ふとすぐ横の椅子を見ると先ほど見事な寄り切りを見せた横綱……ではなくおばさんが鎮座していた。
おばさん、こわっ。
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