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三人で黙々と運ばれてきたカレーうどんを食べる。
な、なんか緊張する。
て言うか…
人から見ると絶対、市川さんの方が社長さんに見えるよね。
目の前に座る社長をそれとなく見る。
前髪は伸びてうっとおしげだし、目も隠れてイマイチよく見えないくらいだ。
しかも顎のあたりには薄っすらと無精髭もあってだらしない感じ。
何より着ている服だってただの白いシャツにジーンズだし。
これ、どう見てもやっぱり学生でしょ?
「おい、新入り。」
「は、はいっ。」
不意に社長がこっちを見た。
「お前、もうちょっと気をつけろよ。一応、女だろ?」
はい?
「な、なんですかいきなり。私だって毎朝、身だしなみには気を配ってます。前髪だって私はこうして上に上げてスッキリさせてーーー」
「アホらし……」
またもや呆れたように言うと社長はカレーうどんをすすり始めた。
「クズハラさん、それ。」
見かねた市川さんが私の胸の辺りに目線を向ける。
ん?
よく分かんない。
「今日の服装に何か問題でも?」
「ハッハッハ、やっぱりクズハラさん…いや、クズハラちゃんってしっかりしてるようで天然だよね。」
「な、なんですか。ちゃんと言ってもらわなきゃ…」
「お前の服、カレーだらけだぞ。」
社長に言われ胸元を見ると…
真っ白なブラウスにカレーうどんが飛び散りまくってた。
「うぎゃっ」
「お前、馬鹿なんじゃねぇの?」
相変わらず涼し気な顔でカレーうどんをすする社長。
悔しいけれど社長の白いシャツにカレーうどんは一滴たりとも飛んでいない。
うっ……
お昼からもまだあるのに……。
どうしよう。
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