1526人が本棚に入れています
本棚に追加
/285ページ
恐ろしいほど会話もなく電車を乗り継ぎ着いたところはーーー
誰もが知ってる昔からの老舗デパート。
「ここですか?」
「ああ……、まぁ、今日の所は隣で黙って座ってろ。いいな?」
「はい…」
とは言ったものの……
なによ、黙って座ってろって。
めちゃ、上からじゃん。
って、社長だから当たり前か。
にしてもじゃあ、なんで私連れてきたのよ。
黙って座ってるだけなら一緒に来る意味無いと思うんだけど。
「おい、ボケッとするな。早く来い。」
っとに…、口が悪いなぁ。若干、腑に落ちないものの急いで社長の後を追った。
従業員専用出入り口に立つ警備の方に入店証を貰い、そのまま中へ。
へぇ、デパートの裏側ってこんなんなんだ。
そこには乱雑に積み上げられた数々の段ボール箱や、檻にしか見えないような台車らしきもの。
そういった物が沢山置かれていた。
もちろん、一階は化粧品のフロア。
バックヤードにもほのかにあの独特の甘ったるい香りが漂っている。
社長はエレベーターを探し乗り込むとと6階を押した。
エレベーターのドア上を見るもこれと言って表記はない。
きっとお客様用のエレベーターなら何階は何売り場とかって表記があるだろうけれど。
最初のコメントを投稿しよう!