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「お前なぁ、自分でそれ言うか?」
「ですよね…」
「とにかくだ、せっかくのチャンス掴まねぇのかよ。」
「えっ…?」
「お前、企画営業とか興味あるんだろ?」
「ああ…はい。」
確かにダメもとで履歴書に書いたっけ。企画に直接携わる仕事をやってみたいと。
えっ、てことは履歴書ちゃんと見てくれてたってこと?
猫の手の代わりに適当に選ばれたんじゃなかったの?
「おい、黙ってねぇでなんとか言えよ。」
「あっ、はい。興味あります!元々、企画営業とかやりたくて…でも以前の会社では事務職でしたので経験が。」
「バカか。」
「バカッてなんですかっ。」
一々、ムカつくなぁ。
「経験がないなら積めばいい。それだけの事だろが。」
「ないなら積めばいい…。」
「そう。そのチャンスが今、目の前に来てんだろ?それとも大人しく言われたことだけやってるか?生憎、うちは見ての通り少人数でなんとかやってんだよ。一人で何役もしなきゃならねぇ。できないって言うなら今のうちに次、探せ。」
「うっ…」
ほんと口悪いなぁ。
だけどーーー
言われっぱなしなんて嫌だ。
それに仁さんの言うことは確かにそうだ。経験がないなら積めばいい。それだけのこと。
「やります…いえ、やらせてください。」
「チッ、最初からそう言えばいいものを。手間取らせやがって。これ、今からちゃんと目を通しとけよ。早速、今日の昼から打ち合わせしたいって五嶋さんが。」
「きょ、今日ですか?」
「できねぇの?」
「できます!やります!」
私の運気、上がってきたんじゃないの?
よし、やってやろうじゃない!
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