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「こんなところで申し訳ないけれど、お好きなのどうぞ。ってまぁ、自販機で申し訳ないけれど。」
と言いながら自販機に硬貨を入れてくれる五嶋係長。
着いたところは少し広めの休憩スペースだった。壁際にはカウンター席、他にも小さめのテーブル席もいくつか用意されていて各々がゆったり寛げるようになっている。
五嶋係長は1番奥のテーブル席までいくと「どうぞ」と珈琲カップを持つ手とは反対の方で椅子を引いてくれる。
「ありがとうございます。」
仁さんとはどこまでも反対の紳士的な対応に心が和む。
「事務所でもよかったんだけどあっちだとゆっくり打ち合わせできないかなと思って。」
あっ、もしかして私がこの前、あんな失態をやってしまったから事務所じゃ恥ずかしいかと思って気を利かせてくれたのかな?
「もしかして…私に気を使って頂いての事ですか?あの時、一人早とちりして見苦しいところをお見せしてしまったので。」
今でも思い出すと汗が出そうだ。
「いえいえ、本当に先日の事は気になさらず。と言うか僕は気にしてませんから。事務所だと電話が入ったり呼び出されたりで落ち着いて話を進められませんしね。なんせ楠原さんと初めての打ち合わせですから。」
おお…なんて笑顔が爽やかなんだろう。
「ありがとうございます。一生懸命やらせて頂くつもりですが至らないところは遠慮なく仰ってください。では早速ですが今回ご提案させていただいたーーー」
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