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「で、打ち合わせが上手くいったのはわかった。それよりその緩んだ間抜け面を今すぐ何とかしろ。」
「ま、間抜け面?」
せっかく初めての打ち合わせも上手くいき、意気揚々と社に戻り直ぐ仁さんに報告をしていたのだけれど…
そんな言い方って…
いや、確かにそうかも。
少し舞い上がってるって多少の自覚はある。
「大変失礼いたしました。今後も気をしっかり引き締めて参りたいと思います。」
「ああ、そうしてくれ。せっかくの企画がお前の色恋で潰れたとかあり得ねぇから。」
「色恋?な、何言ってるんですか。そんな訳ないじゃないですか。取引先の方ですよ。」
ったく、なんてこと言うのよ。
取引先相手にそんな色恋なんて…
その一瞬、五嶋係長の上着を預かった時に微かに鼻を掠めた爽やかな香りを思い出す。
いやいや、あり得ないって。
ふと、目の前に座る仁さんを見ると訝しげな顔して私を見ている。
「大丈夫です。せっかく貰ったチャンス潰すわけにいきませんから。」
「わかってんならいいけど。」
「早速、今日の報告書と今後の計画書纏めますので後で確認お願いします。失礼いたします。」
若干、モヤモヤしながらも頭を下げ自分のデスクに戻った。
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