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ソファに再び横になる仁さんを残して下に戻ろうとしたら呼び止められた。
「おい、ちょっと待て…」
ああ、あれでしょ。さっきの。
「はい、はい、世話好きのいいオカン、でしょ?」
って言われる前に先に言ってやろうとしたら、
「助かった。さんきゅ。」
「えっ?」
「えっ、ってなんだよ。人が素直に礼を言ってんのに。」
いや、その馴染みのない素直さに驚いてるんですけど。と言いたいところをグッと堪え素直に受け取る。
「いえ…どういたしまして。」
なるほど。
やはりそうか。
占いのラッキーアイテム、大きめの鞄。
普段からなんでもかんでも持ち歩いていたお陰で世話好きのオカンみたいだと誤解されるも、こうしてあの仁さん自らお礼を言われるんだもんね。
確かにラッキーだわ。
無理矢理にでも納得させて今度こそ、立ち去ろうとしたら仁さんが手招きをする。
「まだ…具合い悪いですか?まぁ漢方なので直ぐには効かないかーー」
直ぐ近くまでくるとガシッと腕を掴まれた。
「ええっ!」
「お前さぁ…」
「は、はい…?」
えっ、なに?なんなの、この状況。
よくよく考えたらここ密室だよね?
密室に社長と二人…
ああ、これもしかして恋愛小説とかでよく見るあれか?
【オフィスは危険がいっぱい、俺様社長に囚われて】
とか。
【秘密のオフィスラブ、この恋はお持ち帰りください】
みたいな。
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