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「こいつ、面白いだろ。」
「確かに、面白そうではあるな。」
何よ、二人して楽しそうに盛り上がって。人を肴にして飲まないでよね。
「それでですけど、結局、私はどうしてここに?どうみても私にここは場違いのような…」
大企業の会長と商談?という雰囲気でもないしただ美味しいお酒とお料理を頂いてるだけなんだけど…
それともまさかっ!
この後、私が会長のお相手をするとか?
ええっ…
「お前さぁ、マジでその思考どうにかなんないの?」
「思考…とは?」
「顔見りゃわかるわ。奥の部屋へ連れ込まれてお代寛さまお止めになってぇってとこだろ?」
「えっと…大筋は。すいません。」
「ああ、いや、実に面白い。胡桃沢くん、いい子を見つけたじゃないか。きっと彼女は化けるよ。」
「だろ?まぁ今時、これだけ思い込みの激しい単純バカいねぇし。調教しがいがある。」
「なるほど。お手並み拝見か。」
「てことで、来月からもこいつ連れてきて問題ないよな?」
「ああ、寧ろ、君より彼女を、だ。」
えっ、えっ?
来月からもってどういうこと?
「あの、本当に私、何も知らなくてここへつれてこられたので…一体、どういうことでしょうか?」
単純バカだの調教だの気になるパワーワードがいくつかあったけれど、さすがにこれ以上、話の見えないまま頷く訳にもいかず会長に向けて話を聞いてみた。
「なんだ胡桃沢くん、彼女になにも話さず連れてきたのか。」
「ああ、いずれわかるだろうと思って。」
「君というやつは全く…じゃあ、私から説明しようか。楠原くん、この席は家賃だよ。家賃。」
「はっ?」
いやいや、ますます意味がわからない。
仁さんの顔を見ると、
「つまり、月に一度、じいさんとこうして酒を飲むことでうちの会社の家賃をチャラにしてもらってる。まぁ、実質、ただで借りてる、ってとこか?」
なに?
これ、お金持ち特有のお遊び的な?
はあ?
会食一回で家賃ただ?
しかもあの一等地だよ?
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