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「…なんなのよ。」
腑に落ちない気持ちを一旦押し込んで、言われたとおり表の方へ出る。
なるほど。
いくつものビルが建ち並んでいる。
で、このビルをくるっと周ってよって言ってたよね?きっとこの奥にあるのか。
綺麗なガラス張りのオフィスビル沿いに歩いていく。けれど、ちょうどそのビルの真裏辺りに来た時、道路向こうにオフィスと言った感じのビルは全く無かった。
「えっ?どういう事?」
そこには新しいオフィスビルの建設予定地があった。
まだ工事も始まっておらずただ柵が無造作にしてあるだけ。
「周り過ぎた?」
間もなく約束の時間になると言うのに一向に辿り着けなくてさすがに焦ってくる。
初日から遅刻とかあり得ないし。
ふと、朝の占いを思い出す。
魚座、空回り…
いや、これ空回りって言うよりビルの周り周ってるだけだし。
その時、建設予定地の空き地の端にひっそりと佇むように建っている建物があった。いや、建物っていうよりーーー
ただの2階建ての倉庫?
背中に冷たい汗がスーッと流れるのが分かった。
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