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「じ、仁さん…近い、近い近い近いですって!」
仁さんに言われて私もカウンター内で手伝うことになったは良いけれどすぐ隣にいる仁さんがやたらと近い。
「あの…、これで本当に大丈夫なんですか?」
直ぐそばの仁さんに小声で聞く。
「ああ…、俺の勘が外れてなきゃ効果はあるはず、だけどな。」
そう、仁さんは私に恋人になれと言ったのだ。
もちろん、嘘でだけど。
勝手に予定していたバリスタをキャンセルした人物をあぶり出そうと考えたらしい。
それに、私と五嶋さんがなにもないってことを分からせれば二次災害も防げるんじゃないかって話なんだけど。
そんな単純な話かな。
こんなくらいで…
「って、いくらなんでも近いです!仕事中ですよ。」
あまりの密着加減にさすがに注意すると、
「そう、目くじら立てるなって。俺の虫除けでもあるんだからもう少しそれっぽく振る舞え。」
全く悪びれることもなく仁さんが言う。
そう虫除け。
予想外に女性客も集まってしまい、しかも何かと仁さんに絡んでくる人もいるらしく…
「っとに…勝手なんだから。」
「なんか言ったか、新入り。」
めちゃくちゃ優しい表情なのに威圧感が鬼レベルだよ。
はぁ…早く終わらないかな。
溜め息がまたひとつ出た。
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