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☆ラッキーアイテムは大きめのカバンです!
悪夢の初出勤の日からあっという間に一ヶ月が過ぎていた。
あれだけの失態をしたものの、未だ首は繋がっている。
この一ヶ月で分かったこと。
確かに猫の手でもいいから借りたいほど忙しいということ。
市川さんは適当そうでいて実は仕事能力が高いこと。
そして、もう一つ。
社長である仁さんはーーー
口が悪い!
自分のことは社長って呼ぶな名前で呼べとか言う癖に私のことは未だに「おい」だの「新入り」呼びしてるし。
それに相変わらずの仏頂面。眉間にびぃーーーって深いシワがいつだって入ってて…
結局、あの時の笑顔は何だったんだ?
童顔を気にしてのことだとわかってても威圧感が半端ないって。ほらね…
「おい、新入り。」
聞こえないふりするか。
「おい、新入り聞こえてんだろ?」
仁さんが自分のデスクに座ったまま私を呼ぶ。
「チッ、聞こえねぇフリかよ。だったらこれも聞こえねぇんだな。あの時の五嶋さんの顔は忘れらんねぇよなぁ。なにしろお前があんなことーーー」
「はい、お呼びですか?」
急いで立ち上がり仁さんのデスクに向かう。
市川さんが一瞬、訝しげな顔で私と仁さんを交互に見たけど納得顔をするとまたパソコンに視線を戻した。
「ったく…最初から来いよ。」
「失礼しました。まさか私の事を呼んでいると思わなかったので。」
ここは言っておかねば。なのに…
「チッ…減らず口が…」
舌打ち?減らず口?
ああ、ムカつくっ!こっちだって負けるものですか。
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