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アワノは頭にくる表情を顔面に貼り付けて、何度も口を動かしていた。あーちくしょう、あいつ絶対バカにしてる。それだけじゃなくて、なんとも腹立たしいことにこの状況をいち早く理解した上で楽しんでいやがる。そう、僕の隣はハルミちゃんだ。この地球上で、一番かわいい女の子。
「カーズトくーん!おーはよっ」
可愛らしい口調で挨拶してくれたのは、ハルミちゃん、であったらよかったのだが、アワノだった。語尾にハートマークでも着きそうな声色で僕の席の方へやってきたアワノは、ご自慢の茶色い髪はきれいに染め上げていた。アワノの席は左側の窓際の一番前の席らしい。
「んだよアワノ。てかお前さっき口パクパクしてんの、めっちゃきもかったぞ」
「なんだよ、カズトぉ、お前てっきりハルちゃんと隣の席になれてうれ…イテテ」
「ちょ、おま、ふざけんな」
咄嗟にアワノにヘッドロックをかましながら口を抑え込む。まだこのクラスには知らないやつの方が多いんだから、こういった情報は漏らさない方が生活しやすくなるのは、さすがのカズトでも理解していた。
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