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「やめて。私はあなたの持ち主じゃない・・・。そのぬいぐるみだって関係ないでしょ・・・!」
私の声に反応したのか、モノはこちらへ視線を向ける。それはとても悲しくなるような感情に思えた。私はぬいぐるみを取り上げるために、立ち上がろうとした。
「この子はちょっと困った子でね。悲しみよりも怒りの方に身を委ねてしまったの。裏切られたと思って、女の子を恨んで、その子が居なくなっても消えることがなくて・・・・・。見境が無くなってしまったの。」
「だめ!それだけは絶対にやめて!」
私はベッドへ飛び付いた。ぬいぐるみに手を伸ばす。
「幸せそうなぬいぐるみを見つけると、バラバラにしたくなっちゃうの。」
彼女の声に私は頭が真っ白になる。もう少しなのに、何故か体が動いてくれない。このままじゃ・・・・。
「・・・・あなたは、本当に大切にされてるんだね。」
その一言を聞くと体が軽くなった。慌ててベッドからぬいぐるみを取り上げる。どこも壊れてない。私は安心した。彼女の方へ顔を上げる。しかし、もうそこに彼女たちはいなかった。
「・・・・嫉妬って怖いよね。」
最後にもう一度聞こえた。なんだったのだろうか。私はぬいぐるみを抱きしめて、もう寝てしまうことにした。ほんの数分のことなのに、酷く疲れたのだ。
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