4つ目 その子のふわふわ

3/4
前へ
/4ページ
次へ
「やめて。私はあなたの持ち主じゃない・・・。そのぬいぐるみだって関係ないでしょ・・・!」 私の声に反応したのか、モノはこちらへ視線を向ける。それはとても悲しくなるような感情に思えた。私はぬいぐるみを取り上げるために、立ち上がろうとした。 「この子はちょっと困った子でね。悲しみよりも怒りの方に身を委ねてしまったの。裏切られたと思って、女の子を恨んで、その子が居なくなっても消えることがなくて・・・・・。見境が無くなってしまったの。」 「だめ!それだけは絶対にやめて!」 私はベッドへ飛び付いた。ぬいぐるみに手を伸ばす。 「幸せそうなぬいぐるみを見つけると、バラバラにしたくなっちゃうの。」 彼女の声に私は頭が真っ白になる。もう少しなのに、何故か体が動いてくれない。このままじゃ・・・・。 「・・・・あなたは、本当に大切にされてるんだね。」 その一言を聞くと体が軽くなった。慌ててベッドからぬいぐるみを取り上げる。どこも壊れてない。私は安心した。彼女の方へ顔を上げる。しかし、もうそこに彼女たちはいなかった。 「・・・・嫉妬って怖いよね。」 最後にもう一度聞こえた。なんだったのだろうか。私はぬいぐるみを抱きしめて、もう寝てしまうことにした。ほんの数分のことなのに、酷く疲れたのだ。
/4ページ

最初のコメントを投稿しよう!

0人が本棚に入れています
本棚に追加