わたしの犬

2/5
2人が本棚に入れています
本棚に追加
/9ページ
わたしは幼い頃、犬を飼っていた。 部屋で飼っていた中型犬で、とても頭が良く、幼かったわたしの面倒を見てくれるほどだった。 わたしは犬と散歩に行くのが楽しかった。 けれど、ある日。 普通に歩道を歩いていただけなのに、一台の車がわたしの方に向かって走ってきた。 犬が―リードを引っ張って、わたしを引っ張ってくれた。 だからわたしは転んでケガをしたけれど、無事だった。 だけど…犬は死んだ。 車に轢かれて。 車は逃げた。 わたしの犬を轢いたまま。 ―殺してやる。 まだ小学生だったわたしは、心の底からそう思い、遠ざかっていく車を睨み付けた。 そして血まみれになった犬を連れて、家へ帰った…ハズだった。 その後の記憶があやふやだった。 しかし家に帰ってきたのは、血と泥に塗れたわたし一人だけだったと、両親は言った。 無残な姿で帰ってきたわたしを見て、両親はさぞかし驚いただろう。 そして犬のことを言うと、両親は怒って、警察に言った。 わたしは逃げる車のナンバープレートを覚えていたから、すぐに犯人は見つかった。 だけど…ペットを殺しても、犯人は軽い罪に問われるだけ。 すぐに自由の身になるのだと、両親は怒っていた。 こんなことって…! 犬はわたしの家族だったのに!
/9ページ

最初のコメントを投稿しよう!